第三章 横浜オフ前編
今日は少々早起きをせねばなりません。
未だ複雑な体勢で夢の世界をさ迷っているKKさんの横をそっと起きだし、身支度をして出発。
KKさんの母上殿が朝御飯を用意してくださったが、時間の関係で涙を飲んで辞退しました。その節は本当にすみません。
まだ少々足が痛みますがそのくらいなんのその。
駅でおにぎりとサンドイッチを食べて朝食とし、一路横浜駅へと向かいました。
横浜駅につき、待ち合わせの場所へ。少々早かった模様です。
そこで朝食で出たゴミを捨てようとゴミ箱を探す旅に出発。巡回。敗北。なんでないんだ。
仕方がないのでとりあえずカバンにゴミを忍ばせチャンスを見つけてどこかで捨てようと思いつつ、待ち合わせ場所であるところのCIALエスカレータ前にてぼんやりと待ちます。(ちなみにこのゴミ、結局帰りまで持ったままでした)
今日はネットで知り合った方々とお会いしようという、いわゆる一般的なオフ会。
「オフ会」自体が一般的じゃねぇよというツッコミはさり気に無視するとして、今回の東京旅行のメインイベントとなりうるべき会合なのでございます。
今回お会いする方々はほとんとが初めて。初対面。初体験。どきどき。優しくしてね。
オイラ以外のメンバーは以下のようになっております。
JUNKさん | 男 | (HP) | 酒とメタルとメイドを愛す漢。その不健康さに誠の魂が見える。 |
RANさん | 女 | (HP) | いつかさんとのコンビは最強。笑顔の似合う現役女子高生。 |
卯月いつかさん | 女 | そのパワフルさにはただただ脱帽。現役女子高生にして魔性の姉御。 | |
珊瑚さん | 女 | (HP) | 物静かに一般人を演じているが人生が波瀾に満ちている奇跡の人。 |
茜河ゆつきさん | 男 | (HP) | 伊勢オフ以来。母性本能をくすぐるネコミミ好き。今回のメインディッシュ。 |
麗士さん | 女 | (HP) | 伊勢オフ以来。小柄な体格が小動物的可愛さを醸し出す抱き付き魔。 |
(ABCあいうえお順) |
今回のオフでは「カラオケ」「ケーキバイキング」「RANさん宅にお邪魔する」という予定を立てました。
詳細に関しては現地の方々に任せてあるので(その節はありがとうございました!)、どういう行程になるのかはオイラもわからず少々ドキドキです。
ドキドキといえば初対面の方々との待ち合わせという点もドキドキなのですが、「誰かわからなくて会えなかったらどうしよう」というドキドキに関しては全く危惧しておりませんでした。
それは何故かというと。
〜ネット上での会話にて〜
いつか「オフの時、別にどんな服装でもいいですよね?」
オイラ「あ、いいっすよー。別にそんな堅苦しい会合でもないし」
いつか「チャイナ服着ていきますんで」
…そしてここは横浜駅CIALエスカレータ前。
待ち合わせに使われやすいのか、誰かを待っているらしい人がたくさんいます。
ちょっと季節を先取りした魅惑的な服を着た女性。
シンプルにしてオシャレな洋服を着こなした女学生。
黒一色で固めてスカした男性。
チャイナ服が現れれば絶対にわかると確信。
ぼんやりと光景を眺めながらチャイナ服を探すオイラ。
チャイナ服を目印にすればメンバーは誰も迷わず合流できることでしょう。
ある意味最強の待ち合わせ方法です。ハチ公やナナちゃん人形、お待たせ桶ですら足元にも及びません。
しかしそれはオイラが探さなければいけない話。
こちらからチャイナ服を捕捉することは容易ですが、チャイナ服がオイラを捕捉するのは著しく難しい所業でしょう。
視覚を広域探索モードに切り替えて、視野内に違和感が現れたらそれをサーチするように設定します。
RAN「見付けたー!」
うわぁ!びっくりした!びっくりした!
視覚を広域探索モードから人物認識モードに切り替えたオイラが知覚したのは三人の女性。
お名前をお伺いしたところ、いつかさん(inチャイナ服)、RANさん、珊瑚さんでした。
なんでオイラの方が先に捕捉されたんだろう…と多少遠い目をしつつご挨拶。
いつかさんとRANさんの掛け合いトークが凄まじく、オイラはそれをぼんやり聞きながら思いましたね。「あ、こりゃオイラ楽だな」と。
そして問題のいつかさんのチャイナ服ですが、これがたいそうお似合いで、どこの中国マフィアのボスかと思いました。
そうこうしているうちに麗士さん登場。お久しぶりです。
早速「きゃー」とか叫びながらRANさんと抱き合う麗士さん。さすが抱き付き魔。
そして微妙な笑顔でそれを見つめるオイラと珊瑚さん。
後はゆつきさんとJUNKさんです。両者とも遅れ気味。
JUNKさんに関してはいつかさん・RANさんが「絶対遅れてくる」「寝坊だ」「どうせ酒飲んだんだ」「来たら蹴る」と仰っており、それでなんとなくこの三者の関係が理解できた気がしました。
一方ゆつきさんに関しては「途中でネコ見つけて思わず追いかけてしまった説」が最有力候補。(ネコ好き)
10分後にゆつきさんが、20分ほどしてJUNKさんが到着し(やっぱり蹴られていました) 、いよいよ行動開始です。
周囲の熱い視線がチャイナ服に注がれていて非常に目立っている気がします。
電車を乗り継ぎやってきたのは蒲田。
ホームに流れる電車到着音が「蒲田行進曲」というところにこだわりを感じます。
カラオケ屋へ。
ロビーの待合席にあるダルメシアン柄のソファーに深々と腰掛けて足を組むいつかさん(inチャイナ服)はますますマフィア度をアップしており、これに後どんな小道具を持たせれば完璧かと想像を巡らされます。とりあえず小型拳銃(デリンジャー)と超長い煙草は必須だな。
注) イメージ図です
機種は当然のようにHyperJoyを指定し、カラオケルームイン。
麗士「ゆつきさーん、ちゃんとチャイナ服持ってきたー?」
いつの間に決まったのやらこの後RANさんちでファッションショーが行われることになっており、本場中国で本物のチャイナ服を買ったというゆつきさんはそれを持ってくるよう言われていたようです。なんでそんなもの買ったのかという疑問はおいといて。
ゆつきさんが取り出したるは2着のチャイナ服。なぜ2着もあるかはおいといて。
さらに麗士さん自身も1着チャイナ服を持参しており、いつかさんが現在着用しているものを加えると合計4着のチャイナ服がこの四畳間ほどのカラオケルームに存在することになります。通常ではありえないチャイナ服密度です。
さてカラオケルームなのですからカラオケをするのは当然の理。
まずはオイラがアニメ「最遊記」の「FOR REAL」を入力し、先陣を切りました!
オイラ「♪立ち止まガピーーーーー
ハウリング。
これではとてもではないですが歌えません。
機械をちょちょっと弄ってみたものの何が何やらで結局改善されず、仕方がないので店員を呼ぶことにしました。
珊瑚「…えっ…と、私が呼ぶんですか?」
オイラ「?んーと、ちょうど内線電話に一番近いところに座ってますし、お願いします」
珊瑚「…はい。いや、別に良いんですけど…」
受話器を取った珊瑚さん。
しばらく耳に受話器を押し当てて、
珊瑚「……えーと。誰も出ません」
一同「はっ!?」
珊瑚「ていうか向こうに繋がってないかも」
オイラ「んなアホな」
珊瑚「…いえ、ほら私、帯電体質だから」
帯電体質。
そうでした。珊瑚さんは帯電体質らしいのです。
しかし、いくら帯電体質でもまさか内線電話が通じなくなるなんて。そんなバカな。
ゆつき「あ、じゃ僕がかけてみます」
向かいに座っていたゆつきさんが受話器を取りなおしました。
ゆつき「あ、すみません、ちょっとハウリングがひどいんで直してもらえますか。お願いします」
通じてる。
恐るべし帯電体質。
しかしこんな現象は氷山の一角に過ぎなかったのです。が、それはまた別の話。
オイラ「で、店員さん来ますけどこのテーブルの上に置かれたチャイナ服はこのままでいいんですか?」
ゆつき「うわああああ」
そういうわけでようやく本題のカラオケ開始。
アニソンからJ-popまで幅広い選曲となりました。
いつかさんとRANさんはペアで歌うことが多かったのですが、カラオケ慣れしていてなかなかのもの。
麗士さんはm-floなどを。部屋の中がまったりとしたムードになりました。
ゆつきさんはTMRを歌って声質が変わったのにもビックリしましたが、スピッツ等のフォークはその純朴そうなイメージが本当に似合うなぁと思いました。萌えー。
珊瑚さんはB'zやTMNなどをチョイスするも、リモコンが反応せず。恐るべし帯電体質。
そしてJUNKさん。
オイラはカラオケのためにこの方を呼んだ、いえ、むしろこの方のためにカラオケを予定に組みこんだと言っても過言ではありません。
噂に聞くメタルな歌声は確かにメタルでした。それはもう素晴らしくメタルでした。満足しました。
で、当然オイラはネタ系に走るわけです。
「愛をとりもどせ!!」を選曲した時にはJUNKさんと「Good!Σd(´ー`)」なアイコンタクトを交わしつつ。
途中でpop'n musicより「なんか変だ!」を選曲。
…その時、向かいに座っていたRANさんの目の色が変わりました。
RAN 「わ。この曲好きなんですよ!」
オイラ「ふふふ。RANさんならこの曲をご存知だと思いました」
RAN 「へっ?」
オイラ「待ち合わせの時、通りすがりの人を見て、RANさん
「あの背の高い人に帽子かぶせたらタイマーみたい」とか仰っていたのを
オイラは聞き逃しませんでしたよ☆」
RAN 「そんなのその時に言ってくださいよ」
だってそれじゃつまんないし。
2時間半のカラオケを終えて電車内。
後方に座っているカップルがチャイナ服に呆然とするのを尻目に東神奈川で乗り換え、新横浜へと向かいます。
途中で乗ってきたおにーさんのカバンをよく見ると犬が。
あまりにぷりちーなクリーチャーの出現に、色めき立つ女性陣。
そしてオイラは。
だめだめ、ボーナスまで待ちなさ…
♪どうするー アイフルー
さて、新横浜駅到着。
続きましてはケーキバイキングです。
「新横浜プリンスホテル トップオブヨコハマ」へ向かうご一行様。
折りしも低気圧が近づいていたこともあるのですが、それにビル風が加わって結構な強風が吹いていました。
チャイナいつかさん、ぴーんち。
はためく裾。ドキドキする後続。振り返る通りすがりのおじいちゃん。
しかしうまくできてますねあの服。あれ、どんなにはためいても一定の高さ以上は絶対にめくれないのな。
いよいよホテルに到着。
無駄に豪華なホテル内部で軽く迷いつつエレベータで42階へと上がります。気を抜くと耳がキーンてなります。
高ーい。
そのタワーは中央部が吹き抜けになっているのですが、ガラスにいくらへばりついても一階エレベータホールの屋根が見えません。
その高さにキャアキャアはしゃいでいると、レストランのボーイさんがオイラ達を通してくれました。
3人4人の組に分かれ、ケーキバイキングスタート。
アルコールの入っているケーキは遠慮しましたが、他は全種類(と言っても5種類くらいですが)食べ尽くしました。
いやはや満足した。他にもアイスやサラダやあってお腹いっぱいになるくらい食べてしまいました。ちなみにこれオイラの昼食。
それにしてもさすがは「トップオブヨコハマ」と謳うだけあって豪華なホテルです。
レストランの内装も気品が溢れており、ジーパンにリュックという出で立ちで訪れたオイラはなんだか場違いな気になってしまいます。
そう。
ここへ来て初めて、いつかさんのチャイナ服は違和感のない状況になったのでした。
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