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バンク・コントローラー



バンク・コントローラーG2

HERO「また金運来ました」

のっぽ「はーい」

HERO「『直下型超巨大金運、日本襲来!
     億万長者を、大量生産する!!』」


のっぽ「おー、そりゃ迷惑だ」

HERO「お金の絶対量は決まってるんだから億万長者の大量生産は無理だろ」

のっぽ「あーそか」

HERO「かといって、流通するお金の量を増やしたらインフレが起こるから意味ないし」

のっぽ「みんながみんな億万長者にはなれないってことだね」

HERO「そうそう」

のっぽ「もしくは、さっきのフローの話で
    みんなで一斉にハァァァァッッてお金を廻せばいいんじゃなかろうか」


HERO「あ、なるほど」

のっぽ「ね」

HERO「それか、黒字倒産とか」

のっぽ「あー」

HERO「全部売掛金。
    だから帳簿上は黒字だけど、現金化して回収することができない」


のっぽ「だめじゃん」

HERO「でもそのくらいじゃないと無理だと思うが」

のっぽ「『大量』の定義に寄るな。
    全部抽象的に書かれてるからなんとも言いがたいけど」


HERO「そうだなぁ」

のっぽ「ただオイラが思うに、
    大量生産される億万長者って言うのは
    このシークレットサービスの社員のことじゃないかと」


HERO「あ」

のっぽ「これが買われれば買われるほどお金持ちが増えます。
    ただし社内に


HERO「詐欺だな」

のっぽ「うん」

HERO「買うヤツおらんけどな」

のっぽ「買うヤツおらんけどね」

HERO「ていうかこれ、さっきの貧乏神のヤツと被ってない?」

のっぽ「いや、それはちょっと違うな」

HERO「違うの?」

のっぽ「値段が違うし」

HERO「あ、こっちの方がすごいんだ。
    そうか、さっきのは『金運強化』だけど
    こっちは『大金運到来』て書いてあるもんな」


のっぽ「そうそう。さっきので貧乏を脱出してそこから先はこっちみたいな」

HERO「なるほどな。えーと、後は『財運大上昇』」

のっぽ「おう」

HERO「『商売繁盛』」

のっぽ「ほう」

HERO「『宝クジ当選』」

のっぽ「おう」

HERO「『事業成功』」

のっぽ「おぉ」

HERO「『財宝発見』」

のっぽ「おう……
    …財宝発見!?


HERO「うん」

のっぽ「そ、それはなんか違うぞ!?」

HERO「だって書いてある」

のっぽ「それは…違う…と思いますわ」

HERO「徳川埋蔵金探してる人にあげたいね」

のっぽ「糸井重里か」

HERO「まぁいいけど」

のっぽ「そもそも、財宝発見しても国に取られるんだけどな」

HERO「あー歴史的文化遺産だもんな。もったいない」

のっぽ「金額に換算して全部貰えるわけじゃない」

HERO「なるほど。切ないねぇー。
    私財投げうっても仕方ないなぁ」


のっぽ「だねぇ」

HERO「『古代中国より代々伝わる金運の秘伝書
     「30日で大富豪になれる魔道書」には、
     金運と財運を極限まで増大させる
     世界中の秘術が満載されています。』」


のっぽ「ほほー」

HERO「『その中のブードゥー教の項目に、最も強力にして最も強烈な方法が
     「バンク・コントローラーを身に付ける事である」
     と記されてあります。』」


のっぽ「はーん」

HERO「あ、これってブードゥー教を基にしてるのかな」

のっぽ「ていうかオイラ、ブードゥーって聞くと
    ビデオカードのメーカーしか思い浮かばん」


HERO「Voodoo3とか。
    ていうか俺のパソコン今それ」


のっぽ「そうなんだ」

HERO「『その証拠にブードゥー教発祥の地ハイチは極貧の国ですが、
     ブードゥーの司祭は皆、大金持ちなのです。
     その原因がバンク・コントローラーG2にあるのは、
     まぎれもない事実なのです。』
    …何を根拠に言い切るかなぁ」


のっぽ「その真偽もそうだけど…
    それいつの話なんだろうね?」


HERO「んー特に書いてないけど」

のっぽ「『G2』なんでしょ?
    この製品なんでしょ?」


HERO「最近じゃん」

のっぽ「最近だね」

HERO「あ、でもちょっと前のところで
    ブードゥー教の項目に記されてるのはバンク・コントローラーって」


のっぽ「おお。じゃその頃は一代目だったんだ」

HERO「なるほど、初代だったんだ。
    じゃこれは二代目か」


のっぽ「二代目だったんだ」

HERO「あ、三代目かも知れない。
    バンク・コントローラーGが二代目。
    G2が三代目」


のっぽ「なるほど。かも知れんねぇ」

HERO「『日本のある行者も、たったの半年で億万長者に変身し、
     今では40万坪はあろうかという大豪邸に住んで毎日が豪遊三昧!』」


のっぽ「ほー」

HERO「40万坪の土地っていくらぐらいするんだ」

のっぽ「地価の計算まではできんぞオイラ」

HERO「んー、例えば一坪が10万円位として…」

のっぽ「計算めんどいなぁ」

HERO「…いち、じゅう、ひゃく…400億」

のっぽ「おー。すげー」

HERO「それに上物も建てなきゃな。
    これの倍…いや、ちょっと多めに見て一千億としよう」


のっぽ「はい」

HERO「土地建物あわせて一千億」

のっぽ「はい」

HERO「一千億の買い物が出来るくらい儲けてるのに、
    長者番付に載らないのはおかしいだろ」


のっぽ「いや、載ってる人が持ってるんだよ」

HERO「そんな最近急に載るような人いたか?」

のっぽ「いやいや。前から持ってたんだよ」

HERO「前から持ってたのか」

のっぽ「きっとゲイツさんも持ってるね」

HERO「ゲイツさんも !?」

のっぽ「うん」

HERO「…だからかー」

のっぽ「だからだねー」

HERO「それであんなに大金持ちなんだ」

のっぽ「そう。ゲイツさん、きっとこのハッカーも持ってるよ」

HERO「あはははは。機械神だから?」

のっぽ「機械神だから」

HERO「ところでこれ、『坪』って単位を使ってるってことは日本なんだろうね」

のっぽ「いや、それはわからんだろ。
    日本人向けに書いてるだけであって」


HERO「向こうの国だったらエーカーとか使うじゃん」

のっぽ「日本人に説明するために単位直すくらいするでしょ」

HERO「えー。俺だったら坪じゃなくて平米に直すけどなぁ」

のっぽ「うーん。そういうこと言い始めるとなぁ。
    オイラにゃどれが一般的かよくわからん」


HERO「うーん。そうか」

のっぽ「東京ドーム何杯分とか」

HERO「それはない」

のっぽ「むー」

HERO「つか日本にそんな土地ないよな」

のっぽ「北海道とかは?」

HERO「でも北海道はほとんど林だし。国有林多いぞ」

のっぽ「ムツゴロウさんの牧場でどのくらいあるんだろうね」

HERO「あ!」

のっぽ「どした」

HERO「そうか、ムツゴロウさん家みたいに
    広い土地の中に家がチョコンとある状態でも40万坪の豪邸だ」


のっぽ「土地は40万坪で、家は豪邸。
    二つは別事象ってことね」


HERO「うわー。言葉のマジックだなぁ」

のっぽ「うん」

HERO「古畑任三郎で沢口靖子が言ってた
    『言葉が足りないのは嘘とは言えません』ってヤツだ」


のっぽ「まぁ全部嘘なんだけどな」

HERO「それを言っちゃ…」

まとめ
◎ブードゥー教の財宝発見

のっぽ ちなみに40万坪は約1.2平方km
HERO 具体的にどれくらいの大きさなんですか?

 



人魚の涙



人魚の涙G2

HERO「これ、あんまりこんなとこで読み上げたくないんだけどなぁ…」

のっぽ「どした?」

HERO「今までにも男女関係の商品あったよね。
    復縁、両思い、ナンパ」


のっぽ「はい」

HERO「どれもまだ純じゃない」

のっぽ「純だね」

HERO「これエゲつないぞ」

のっぽ「ほう」

HERO「『薔薇の花壇に赤い妖花の種を植え、
     愛が芽生える秘密の花園…。』」


のっぽ「なんか日本橋の怪しい店で売ってる本のタイトルみたいだな」

HERO「効能が、『セックス運強化』

のっぽ「それ運なのか」

HERO「『色気促進・肉体関係促進』
    もろ直球ですよ」


のっぽ「はー」

HERO「今までのヤツはまだ純粋だったのに」

のっぽ「名前はそうでもなかったけどな。
    ゲッター、スナイパー、ハンター」


HERO「こっちは『人魚の涙』」

のっぽ「名前だけならこっちの方が純粋(ピュア)っぽいな」

HERO「『効果が強烈な事で有名な
     ブードゥー教の最奥義に属する「人魚の涙G2」』」


のっぽ「また出たブードゥー教」

HERO「この広告、好きだなブードゥー教」

のっぽ「きっと語呂が面白かったんだろ」

HERO「そんな理由か!」

のっぽ「きっとな」

HERO「『その神通力は、セックスを司る性魔を自由に操作する事が可能です。』」

のっぽ「…言いにくかったら伏字でいいよ?」

HERO「そだね。
    で、これの神霊が、ハス・サス・マス」


のっぽ「へ?」

HERO「ハス・サス・マス」

のっぽ「神様の名前なの?それ」

HERO「三人いるのかな。
    ハスさん、サスさん、マスさん」


のっぽ「トリオ漫才みたいなもんか」

HERO「漫才だったのか」

のっぽ「漫才だったのだ」

HERO「『その一例として、ブードゥー教の司祭であるA氏が、
     ある非常に潔癖で清楚で評判の美女に「人魚の涙」を使用したところ』…
    ……使用するようなものなのかこれ」


のっぽ「どうやって使用するんだろ」

HERO「ドラクエで言えばさ、

はがねのつるぎをつかった!
しかし、なにもおこらなかった! ▼

    みたいな感じの気がする」

のっぽ「あー」

HERO「薬草とかなら使い道わかるけどこんなわけのわからん勾玉みたいな…
    …ていうかブードゥー教でなぜ勾玉」


のっぽ「あーほら、これ涙だから」

HERO「?」

のっぽ「こういう向きで見てみ。ちょっと凹んでるけど」

勾玉の形って涙に似ていませんか

HERO「あーなるほど」

のっぽ「そういうことだ」

HERO「えーと
    『「人魚の涙」を使用したところ、数日後の晩に
     なんと彼女以外には誰もいないはずの部屋からあえぎ声が聞こえ』」


のっぽ「エロゲーだなまるで」

HERO「『しかもA氏の名を叫んでいたというから驚き!
     その後は、毎晩A氏の自宅に、
     彼女から『抱いてほしい』と通うようになりました。
     本来、ブードゥー教は強力な秘密主義のため、
     この「人魚の涙G2」のような秘法が外部に漏れる事はありません。
     しかし、6年にも及ぶブードゥー教団へのスパイ活動で、
     当社はその奥義を獲得する事に成功したのです。』」


のっぽ「おお?」

HERO「6年程度で情報盗まれるなんてブードゥー教もまだまだ甘いな」

のっぽ「ていうかそこまで来て初めて知った。
    この会社、別にブードゥー教の正式なバックアップを
    受けているわけじゃないんだな」


HERO「あーなるほど」

のっぽ「スパイで勝手に技術盗んだんだ」

HERO「そうだね」

のっぽ「…敵の多い会社だな」

HERO「…パチンコ屋に脅迫されるしな」

のっぽ「そーかー。スパイだったのかー」

HERO「『もはや、超ド級のセ○○○運が誰でも体験できるのです。
     決して、「もうセ○○○なんてイヤ!」と後で泣かないでください。』」


のっぽ「あー。まぁ度を過ぎればイヤにもなるわな」

HERO「これさ、健康運の商品とセットにした方が良くない?」

のっぽ「ん?
    健康じゃないとヤれないってこと?」


HERO「いやそれもあるかも知れんけど、
    変な病気もらったりしたら困るじゃない」


のっぽ「あー。不特定多数と関わり持つからな」

HERO「そうそう。是非セットで」

のっぽ「そういえば、健康運の商品ってないんだな」

HERO「うん、ないんだよ」

のっぽ「不健康な会社ー」

HERO「絶対病気にかかるって。AIDSとか」

のっぽ「あー。HIV」

HERO「それはウィルスの名前な」

のっぽ「後天性免疫不全症候群」

HERO「わざわざそんな長い名前で言わなくていいから」

のっぽ「むー」

HERO「じゃ次行きますか」

のっぽ「えっ、ちょっと待って、結局これ、運なの?
    なんか媚薬っぽい感じに見えるけど」


HERO「そういえばそうだな。使用するとか書いてたし」

のっぽ「書いてる方もそろそろ混乱してきたのかも…」

HERO「……」

のっぽ「……」

HERO「…なんかもう二人がかりでもツッコむ気力が失せつつあるな」

のっぽ「ツッコむのに疲れるよね、この広告」

まとめ
◎媚薬

のっぽ 高橋留美子の人魚シリーズにどうですか
HERO コンドームを忘れずにね

 



龍神の涙



龍神の涙G2

HERO「『豪運が唸り、爆運が炸裂し、猛運が荒れ狂う、観音菩薩も驚愕の激功徳!
     阿修羅級に、霊験あらたか!』」


のっぽ「おー。何やら凄そうだ。」

HERO「というか、もうついに何がなんだかわからなくなっとるぞ」

のっぽ「うん」

HERO「『超運到来・開運全般・財運増強・恋愛運増強・地位と名誉の獲得
     大出世・悪霊退散・厄払い・霊性開花・土地守護 他』
     ……結局何のための商品ですか」


のっぽ「んー。何でもあり?」

HERO「何でもあり…」

のっぽ「もう詰めこめるものは全部詰めこんでみました、みたいな」

HERO「あ、だから高いんだな」

のっぽ「高い。78000円」

HERO「今まで安くて38000円だったから倍以上あるな」

のっぽ「そだね」

HERO「『伝説の秘法「龍神の涙G2」は、
     御利益の最高峰に君臨するそれはそれは霊験あらたかなお宝です。』」


のっぽ「おー」

HERO「『不運の元凶となる悪霊を退治し、想像を絶するような超運と、
     鬼のように押し寄せる大幸運の嵐を次々ともたらしてくれます。』」


のっぽ「はー」

HERO「『伝説によると悪名高い王様が支配する貧困の村に、
     ある日突然、妖術師が訪れて、
     飢えで苦しむ浮浪者に「龍神の涙」を授けたところ、
     なんと半年後に浮浪者は億万長者となり、
     大富豪としてその土地の王の座に君臨してしまい、
     悪名高い王様はその地位を奪われ失脚してしまった
     という記録があります。』」


のっぽ「なんかそんな童話なかったっけ」

HERO「『「龍神の涙G2」を所有すれば総理大臣も夢ではありません!』
    …総理大臣はあんまり魅力的じゃないな」


のっぽ「苦労ばっかり多そうだしなぁ」

HERO「だよなー」

のっぽ「数ヶ月で解散総選挙とか」

HERO「そう考えるとこれ要らないなぁ。
    さっきのエンペラーG2の方が良い」


のっぽ「総理大臣云々の話だけならな。
    この龍神の涙は他にも効能あるし」


HERO「それもそうか。あー書いてるわ。
    『問答無用に総合的開運を連続してもたらします。』」


のっぽ「なんかもうその説明文も説明するの面倒臭くなってきたっぽいな」

HERO「『この施術において、
     長時間の祈祷と断食、高級な御供物と秘伝の修法を駆使した
     阿修羅級の功徳兵器を、先祖代々、安泰と繁栄をもたらす
     家宝として大切に御納めください。』」


のっぽ「ふーん」

HERO「…もういいやコレ」

のっぽ「なんかさ、見てて思ったんだけど
    この商品の名前ってどれもRPGのアイテムっぽくない?」


HERO「あー本当だ」

のっぽ「特にこれなんか『龍神の涙』でしょ。
    さっきは『人魚の涙』だし」


HERO「次の項目は『獣神の涙』…
    3つ集めたらラスボスに行けるとか」


のっぽ「ほこらの祭壇にある3つの穴に入れるんだよ。
    1つ入れる度に炎がボッて点いて」


HERO「3つ炎が灯ったら扉が開くんだな」

のっぽ「ガガガガガ…って。
    画面全体が揺れたりなんかして」


まとめ
◎あからさまに勢い押し

のっぽ りゅうじんのなみだをてにいれた!▼
HERO ドラクエVでいう「水のリング」か

 



獣神の涙



獣神の涙G2

HERO「『血の洗礼による、黒い霊統…。
     日本列島を魔王の大妖力で急襲し続ける、
     デビル教団象神教が布教侵略を開始 !!』
    ……これも意味がわかりません」


のっぽ「ごめん、聞くに耐えなかった

HERO「『大願成就・結界形成』」

のっぽ「…結界?」

HERO「『占術透視・超常現象発生』」

のっぽ「これまた抽象的だなー」

HERO「なんかもう意味がわからんね」

のっぽ「うん」

HERO「『象の御姿で現世に降臨されるベヘモト様の有り難い霊石。』」

のっぽ「ベヘモト様?」

HERO「ベヘモト。
    なんか山本とか岩本とかと同じに聞こえるんだが」


のっぽ「あははははは! 一気にしょぼくなった!」

HERO「ベヘモトって苗字の人いそうだよな。
    『よう、ベヘモト!』みたいな」


のっぽ「『出席番号35番ベヘモトー』」

二人大爆笑

HERO「『整理番号72番でお待ちのベヘモト様、お車の移動をお願い致します』」

二人大爆笑

のっぽ「『すみません、営業三課のベヘモト様お願いします』」

二人大爆笑

HERO「『ベヘモト係長、決済お願いします』」

二人大爆笑

のっぽ「嫌だーそんな会社ー」

HERO「で、ベヘモトって象の姿してるんだよな」

のっぽ「そうそうそう。『ベヘモト係長ー』」

ぱお?

のっぽ「ごめん! オイラ、ベヘモト様好きになりそう!

HERO「俺は見た瞬間からイケる!と思ったぞ」

のっぽ「いいなぁ。ベヘモト様」

HERO「えーと、続きは…
    『地獄界の国宝として』」


のっぽ「ふーん…ってちょっと待て。
    地獄界の『国宝』? 地獄って国なの?」


HERO「みたいだね」

のっぽ「それは初耳だ」

HERO「『魔王の御前に祀られるほど重要な価値があります。』
    あ、ここ覚えておいて」


のっぽ「ん? 『魔王の御前に祀られる』ってとこ?
    わかった」


HERO「『その製造法は、ニワトリの血で髑髏を清め、
     秘伝の薫香の煙にあぶって御祈祷された門外不出の奥義です。』」


のっぽ「はあ」

HERO「ニワトリの血で髑髏を清め、秘伝の…薫香って?」

のっぽ「んーまぁあれだろ、お香みたいなもんじゃないの?」

HERO「あーなるほど。燻製みたいなもん?」

のっぽ「それは違う」

HERO「『不思議な事にこの髑髏に近づく悪霊は、
     すべて内部に吸収して食べてしまいエネルギーに変換してしまうという、
     まさに生き物のようなフェティッシュなのです。』」


のっぽ「どんな物でもエネルギーに変換か。ドラえもんみたいだな」

HERO「悪霊なんか吸収したらヤバくないか?」

のっぽ「吸収してしまえば炭素と水素に分かれるんじゃないの」

HERO「えらく化学的だな」

のっぽ「アカンか」

HERO「だけどさ、これどう見ても透き通ってるじゃん。
    髑髏をあぶったりしただけでこんなに透き通るか?」


のっぽ「すごいね」

HERO「目の所だって穴開いてないし」

のっぽ「いかにも『髑髏の型にはめて作りました』みたいに見えるわけね」

HERO「そうそう」

のっぽ「しかもその髑髏をニワトリの血で清めてあぶって作られたものが
    『獣神の涙』」


HERO「獣神の涙を原料にしたわけじゃないんだな」

のっぽ「少なくとも名前に全く意味がないことはわかった」

HERO「『また、ご購入された方には「供養法」が伝授されます。
     この行法を修行すると、髑髏を通して
     様々な心霊現象を発揮する事が可能です。』」


のっぽ「ほう」

HERO「『例えば、未来予知などの占術、遠隔視などの透視、
     さらには髑髏から直接ベヘモト様を召還して会話するなどの能力の他』」


のっぽ「出た、ベヘモト様」

HERO「このガイコツに喋るんだよ。嫌だなぁ」

のっぽ「あー。じゃこのガイコツに向かって」

HERO「ベヘモト様、ベヘモト様ー」

のっぽ「二名でお待ちのベヘモト様ー」

HERO「あ、それかアレかもよ。
    コックリさんみたいな感じで10円玉の代わりにこの髑髏を置く」


ゴトゴトゴト…

のっぽ「それは無茶だろ」

HERO「『四次元ホールの形成などが挙げられます。』」

のっぽ「何それ」

HERO「ドラえもんの四次元ポケットとどこか違うんだろうか」

のっぽ「穴なんだよ。穴」

HERO「『また、これらの能力を通じてベヘモト様に』」

のっぽ「また出たベヘモト様」

HERO「『霊能開発や大願成就、呪殺などのお願い事をする事も可能となり、
     その応用性と効力は無限大です。』」


のっぽ「ほー」

HERO「呪殺までできるんですってよ」

のっぽ「結局、纏めるとあれか。
    ベヘモト様に頼んだら何でもやってくれるよってこと?」


HERO「ということだな」

のっぽ「ベヘモト様ー、あの人を呪い殺してきて下さーい」

HERO「…ベヘモト様…」

のっぽ「すいませんベヘモト様、焼肉の肉を焼く係してくださいー」

HERO「…神様なのに…」

のっぽ「んで、ベヘモト様は『ぱお?』って言いながらジューッて肉焼いてくれるの」

HERO「あははは」

のっぽ「便利だ。すごいなベヘモト様」

HERO「ベヘモト万歳だな」

のっぽ「ベヘモト様ー、ちょっとテレビのチャンネル変えてー」

HERO「しょーもないことにばっかり神様使うんだな」

のっぽ「『ぱお?』って出てきて鼻でチャンネル変えるの」

HERO「しかもリモコンじゃなくてテレビのとこまで行かなきゃいけないのな」

のっぽ「そうそう。鼻でガチャガチャ回して」

HERO「何年前のテレビだよ」

まとめ
◎ベヘモト様におまかせ

のっぽ ベヘモト様万歳
HERO 名字が「ベヘモト」の人が実在したら教えてくださ い





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