第五章 お兄ちゃんと愉快な仲間たち


12月31日午後10時前。


三度、伊勢市駅前。
集合時間は夜10時ですから、ちょうどいい頃合です。

駅前に到着し、周囲を見まわします。
オイラに与えられている情報はこれだけ。

・集合は伊勢市駅前1番線改札前、午後10時集合。
・主催者の咲人さんは、黒いコートに黒のズボン、黒の帽子に灰色のマフラーをしているらしい。
・咲人さんの携帯番号はもらってある。
・他の参加者は、咲村さん、ゆつきさん、麗士さんまで把握している。
なんか、今そこにいた恰幅の良い人と目が合った。



……なんだろう。
もしや、あの人が咲人さん
だけど黒いコートはともかくとして帽子もマフラーもつけてないしなぁ。
しかし、もし咲人さんじゃなかったとしたら、こんなに見られているというのもおかしいし。
わ。見られてる。めっちゃ見られてるっ!


一通り視姦プレイを味わい、もういいやと諦めの境地に立ったとき、時刻はそろそろ10時になろうというところ。
よろしい。電話をかければ済むことです。
10時になったと同時に電話をかけちゃりましょう。
カウントダウン用にと時計は秒単位で合わせてあります。

PHSを構えた途端、そこに一人の爽やかにーちゃんが出現。
先ほどの恰幅の良い人と親しげに会話を始めました。


……えぇと。
あの人は咲村さんかしら。
イメージはオイラの抱いていたものとそんなに遜色無いんですが。
うーむ。でもなぁ。決め手にかけるしなぁ。
実際リアル咲村さんの情報なんて、オイラはほとんど持ってないし。
やはりここはもう少し様子を見ましょう、格さん助さん。

って、ああっ。
今度はなんだか腰の低そうな、いかにも守ってあげたくなるような男子が!
こ、これはもしや、ゆつきさん?
だとするとサイトイメージどおりなのですが!
し、しかし、オイラはゆつきさんに関しては咲村さん以上に情報を持っていない。


だけど、これだけクロに近いグレイな人たちが一堂に会してたら、確定じゃね?


つまりアレですよ。
サイコロを振って「1」が出る確率は1/6なので約17%ですが、それを10回繰り返したら約84%の確率で一度は「1」が出るってやつですよ。
確率論から行くとこれはもうクロだね。間違いないね。

というわけで恐る恐る近づくオイラ。
いつでも逃げ出せるように体は半身斜めにずらし気味です。(取って食われたりしません)




確率論は偉大であった。




自己紹介を簡単に済ませ、再確認。
やはり最初からいた黒いコートの方が咲人さんでした。

咲人さん「いやー、帽子とマフラー忘れてしまいまして」

よりによってオイラが一番当てにしていたものを。


その後、最後のメンバー麗士さんが到着。
今回唯一の女性であり、位置付けは咲人さんネ妹(「ねいも」と読むべし。ネット妹の略)。
小柄ながら快活で可愛いお方でした。妹かくあるべし。

そんな一行は、いざ伊勢神宮の外宮に向けて出発です。

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