七夕。
織姫と彦星が一年に一度だけ逢うことを許された日。
詳しく言えば、
織物業に従事している
こと座のヴェガと
農業で生計を立てている
わし座のアルタイルがデートに現を抜かし
仕事をサボりまくったため、
白鳥座のデネブっちゅー神様が怒って天の川を作ってしまって逢えなくなっちゃったんだけど、一年に一回だけ逢うことを許された日。
二人の子供は十中八九 5月が誕生日なんだろうなと予想できる日。
そして、織姫が雨女なのか彦星が雨男なのか、
やたら雨であることが多い日。
そんななんともロマンチックな日に、オイラの
従兄弟が結婚いたしました。
雨のジンクスにも負けず、台風の接近にも負けず、暑いくらいの晴天です。
いやぁめでたい。こないだは
サークルの先輩さんの結婚式があったばかりだし、最近はめでたいことが続きます。
オイラにも幸せを分けてくださいお願いだから。
一応親族と言うこともあって、結婚式に出てまいりました。
会場は近所なので楽チンさんです。
ただ、この暑さはなんとかしてくれ。
背広なぞ着ようものなら体内温度急上昇。
しかも、汗を掻くと気持ち悪いし背広が汚れるしってことで喉が乾いているのに飲み物を我慢。
これでクーラーがなかったら死にます。
結婚式で死ぬのは鳥人戦隊ジェットマンのブラックだけで十分です。
なんやかんやしているうちに教会に移動し、いよいよ結婚式がスタート。
こぢんまりした教会に新郎新婦両名の親戚が会し座席に着席していると、後方の扉から登場する介添え役のお姉さん。ああごめん言葉が足りなかった、「介添え役の
アルバイトのお姉さん」。
続いて新婦…じゃない、神父が登場。もしかしたら牧師かもしれんが。
そして新郎登場。
緊張して…というよりは
かなり居心地悪そうに所在無さげな笑みを浮かべて、親族一同の前を通過して祭壇右手の隅へ。
「やははは、緊張しとる」
これこれおばあちゃん、
声を出して笑うでない。
祭壇右手からはその部屋内の右手の壁に沿うように花道が出来ていて、その後方奥にはカーテンに隠された出入り口があります。
そのカーテンの奥から神父…じゃない新婦が登場。
花道を、ゆっくり、ゆっくり、父親とおぼしき人とともに、新婦が、歩いていきます。
なんとも厳かな光景。
ウェディングドレスをひきずりながら、ヴェールに顔を隠して歩みを進める新婦。
「うーん、受け口やな」
これこれのっぽ母、
新婦を品評するでない。
そんな新婦を眺めていたオイラもいろいろなことを考えておりました。
「こんな感じなのかなぁ…「すべてがFになる」でウェディングドレス着て登場した死体」
これこれオイラ、
不謹慎にもほどがあるぞ。
父親の手を離れ、新郎のもとへ近づく神父…じゃない新婦。
二人は寄り添い、新婦…じゃない神父の待つ祭壇の前へ。
方向転換すると
引きずっていたウェディングドレスのすそが周囲の物をなぎ倒しそうになりますが、介添え役のアルバイトのお姉さんがきっちりフォローしてくれました。
そして、新婦…じゃない神父が結婚の儀の開始を宣言。
神の御言葉を語り始めました。
英語で。わかんねぇよ!
まさか全部英語でやっちまうんじゃなかろうなと思いましたが、そこはそれ、
ヘタレな日本の風習。
外人訛りの日本語で、定番の儀式を始めました。
神父「健ヤカなる時モ病めル時も、愛しつづケルことを誓いマスカ?」
新郎「誓います」
定番ですね。
次は神父…じゃない新婦の番です。
って、お、そういえば、初めて
新婦の声が聞けるぞ。
神父「健ヤカなる時モ病めル時も、愛しつづケルことを誓いマスカ?」
新婦「誓います」
最近では
「癒し系」というんでしょうか。そんな感じのボイスでございました。
悪いように言うと脱力系。
指輪交換。
神父が
いちいち指輪をかざしているのが気になりました。「ロード・オブ・ザ・リングス」ですか。
そして…いよいよです。
とうとうやって来ましたどっきどきの瞬間。
神父「それデハ誓いのキッスをお願いしマス」
親戚一同衆人監視の元、羞恥プレイです!
どきどきわくわく。
オイラも、親族一同も、
目の前に座っている小学生くらいの姉妹も、みんなが期待して見守ります。
新郎が神父…じゃない新婦のヴェールを上げ、そして…
…えらいあっさりしてんなオイ。
もっと濃厚に
ぶちゅーてするんかと思ったよ。
こう、バックに
タイタニックのテーマとか流れてさぁ。 ←流れません
しかしお子ちゃまには刺激が強かったようで。
目の前に座っている姉妹はお互い顔を見合わせて
「きゃー☆」みたいな意見交換をしておいででした。
再び英語で祝詞を上げる新婦…じゃない神父。
バックでは
音大からのアルバイターが電子オルガンを演奏しています。
…ってこの曲は有名なアメリカ民謡
「はにゅうの宿」ではないですか。
ちょっと待ってくれ。
オイラにとって「はにゅうの宿」は
映画「火垂るの墓」のイメージが強すぎるんですが。
よりによってまた縁起の悪いものを思い出させないで下さい。あれ戦争映画じゃないですか。
契約書にサイン。
新婦、
左利きであることが発覚。
そして退場。
一足先にオイラたちが表に出て、花びらを持って待機します。
新郎神父…じゃない新婦が出てきたところにみんなでいっせいに花びらを
ぶつけて祝福。
なんとも幸せな光景。
舞い散る花びら。
照れ笑いで、しかし幸せをかみ締めるご両人。
そして、親戚一同の間を抜けて通りすぎたあとに、
花びらまみれになった子供が呆然とたたずんでいたのでした。お前が祝福されてどうする。
これで結婚式は終了です。
続いて披露宴が始まるのですが、
オイラは呼ばれていないので一人寂しく帰路につきました。
花びらまみれになった教会の入り口を一生懸命掃除している教会のアルバイトのお姉さんがとっても印象的でした。健気すぎて。
とにもかくにも、こうしてオイラの従兄弟は結婚いたしました。
本当、おめでとうございます!
新郎も、神父…じゃない新婦も、末永くお幸せに!