SS:官能小説っぽいもの
(2005/4/24作)
めぐみは長い間暗く狭いところにいた。
自分の意思で動ける範囲など微々たるもので、衣服すら与えられず、ただただ毎日食事を摂取するだけの毎日。その食事も自らの手で食べることはできず、他人から与えられねばならない。他人と話す事も出来ないのだ。めぐみはそういう状況下に置かれていた。
だがそんな生活にめぐみは安らぎを感じていた。
彼女のそんな生活が一変したのは、気候もだんだん暖かくなってきた4月末の事である。
ずっと暮らしてきたその部屋から、幾人もの男たちの手によって、めぐみは外の世界に連れ出されたのだ。
めぐみは必死で泣き叫んだが、連れ出した者たちはそんな彼女の姿を見て歓喜するばかり。誰一人として彼らの手からめぐみを助け出そうという者などいない。
めぐみはただ、泣き叫ぶしか出来なかった。
そんな彼女を一人の男が抱き上げてそのまま浴室へと連れていき、彼女を湯船に連れこむ。彼はめぐみの身体を優しく愛撫し、そしてめぐみはそんな彼の手つきに抗う事も出来ず、為すがままに快楽の海へと沈んでいくのだった。
やがて浴槽から連れ出されためぐみ。
しかし彼女は男の手により、生まれたままの姿を大勢の人間の前に晒されてしまう。泣き叫ぶ彼女。しかしやはりそれは見る者たちを喜ばせるだけだった。
そうして幾許の時間が経ったときであろうか。
めぐみを抱いた男の元に一人の中年の女性が現れた。
まだ状況を理解できないでいるめぐみを一瞥し、その女は男に向かって言った。
「良かったですね、お父さん。元気な女の子ですよ」