ショートコント:結婚式
(2007/06/24作)


 恋は人を盲目にするが、結婚は視力を戻してくれる。     ―― リヒテンベルグ



神父「それではこれより、新郎と新婦と神父の結婚式を始めます」
新婦「さりげなく混ざらないでくれますか」
神父「まずはご参列の皆様、ご起立ください。ご一緒に、聖歌斉唱」

♪キミと会った瞬間 ボクにインパクトが走ったにょ (実はスタンガン)
  ボクのハートの内 ああキミに今すぐ伝えたいにゃん (時と場合を考えろ)
  だけどできない ボクは弱虫さんなのデス (さっさと帰れチキン野郎)
  キミのお目目を見ると 言葉が出なくなっちゃう (実は対人恐怖症)

  今思い起こせば あの時のボクがちっぽけに思えるぽ (アソコもちっぽけ)(きゃー)
  ほんのちょっとのガッツで みーんな変わったんだにょ (顔も整形)(お前誰ー)

  ああ 今はハッピーにゃん ボクら (クスリで飛んじゃった)
  さあ 未来へ続くドアを開けて (ネコをなぎ倒し)(マッピー、マッピー)
  二人の旅にLet's GO!(カザフスタンへ)(亡命、亡命ー)


新婦「…何この歌」
神父「ラーメン」
新婦「アーメンでしょ」
神父「ご協力ありがとうございました。ご着席ください」
新婦「誰かつっこんでよ! 大人しく座るなよ!」
神父「続いてルカ福音書7章10節を朗読します」

 堤防で釣りしてたらネコがやって来た
 釣り人の獲物を物色しようとするも、みんなに追い払われた
 しばらくすると、同じネコが仔猫連れてやってきた
 すると、打って変わってみんながどんどん魚あげてた
 ネコの勝ちだと思った


神父「オーメン」
新婦「アーメンでしょ。というかどこからのコピペだ。絶対ルカ福音書じゃない」
神父「――人生とは終わりなき物語です」
新婦「無視ですか」
神父「自分は関係ないと思っていても、あなたはあなたの物語の主人公として生きているのです」
新婦「あ、なんかやっとまともっぽい話に…」
神父「しかし第一作は素晴らしかったのに、2と3は酷かった。アメリカナイズされて幻想感が台無し」
新婦「ならなかったー。ネバー・エンディング・ストーリーの感想言い始めちゃったー」
神父「ソーメン」
新婦「アーメンだっつの」
神父「新郎。新郎は隣にいる新婦を、病めるときも健やかなる時も…」
新婦「……」
神父「別れた後も、妻とすることを誓いますか?」
新婦「いや、さすがにそれはおかしいでしょ」
神父「新婦。新婦は隣にいる新郎を、病めるときも健やかなる時も…」
新婦「っと、今度は私の番か」
神父「目の前でおならされた時も、鼻毛を切っているシーンを目撃したときも」
新婦「……後でこの神父殴る…」
神父「休日に昼までゴロゴロ寝ていても、夫とすることは違いますか」
新婦「はい、ちか…違わないですよ! 危なっ! とんでもないこと言うところだった」
神父「ちっ」
新婦「しかもわざとか! 引っ掛けようとしたのか!」
神父「はいはい、二人とも手を重ねて。祝福の祈りやるから。適当に」
新婦「適当にって…」
神父「…………(祈り中)」
新婦「…………」
神父「……ぷっ……はい、それでは…」
新婦「今、何か思い出し笑いしましたよね!? 祈ってた!? 本当に祈ってた!?」
神父「それでは新郎、新婦のベールを上げてください」
新婦「何もなかったように進める気だわ…」
神父「……」
新婦「……」
神父「へいらっしゃい、何握りましょう!」
新婦「ベールはのれんじゃないです!」
神父「冗談です」
新婦「冗談じゃないです」
神父「ではお二人、誓いの口付けを」
新婦「…は、はい…」
神父「私に」
新婦「なんでですかっ! 嫌だよ!」
神父「ちぇー。じゃあいいです。新郎だけでも」
新婦「もっと嫌ですよ! ってやろうとすんな新郎! あとそこに座ってる腐女子、期待に満ちた目で見るな!」
神父「私は受けで」
新婦「意味がわからないよ!」
神父「えー。コホン。それでは続きまして…」
新婦「もういい加減ちゃんとやってくださいよ」
神父「愛と忠実の証である、指サックの交換です」
新婦「指環でしょ普通! なんで事務作業始めなきゃいけないんですかっ!」
神父「え、この後署名するし…」
新婦「そんな意図!?」
神父「それでは、誓いのサインをここにお願いします」
新婦「はい」
神父「あ、ちゃんとご利用規約は読んでね」
新婦「何のサインですか! 何に入会させようとしてるの!?」
神父「はい、ではこれでお二人は今、夫婦として神に認められました」
新婦「ありがとうございます」
神父「邪神モッコス様に」
新婦「何教!? しかも邪って!」
神父「それでは最後に聖歌斉唱です。皆様ご起立ください。ジョーっぽく」
新婦「そんな演出は要りませんから」

♪有馬兵衛の向陽閣へ

新婦「短っ! 聖歌でもなんでもないし!」
神父「○ーメン」
新婦「アーメンです! というか伏せなきゃいけない単語を口走らないで下さい!」
神父「これで式を終了いたします。新郎新婦が退場致します。皆様、ライスシャワーの準備を」
新婦「…ああ、やっと終わる…」
神父「ライス国務長官は行き渡りましたでしょうか」
新婦「何投げる気だよ! 怖いよ!」
神父「はい、それでは、新郎新婦の退場です!」

♪っちゃちゃちゃ ちゃんちゃららんら ちゃんちゃららんら ちゃっちゃっちゃー

新婦「ドリフの舞台転換の曲で送り出すのは止めてください!」