ショートコント:バレンタインの神様
(2006/02/14作)
「ハーイ、こんにちはーっ」
「わ。びっくりした。誰だよ」
「こんにちはーっ」
「…いや、だから…」
「こんにちはーっ」
「…その…」
「こんにちはーっ」
「こ、こんにちは」
「はい、よくできましたーっ」
「馬鹿にしてんのかお前。誰だよ」
「はいっ、私はバレンタインの神様ですっ」
「バレンタインの神様?」
「はいっ。えらいんですよーっ」
「ちっともそう見えない」
「今日は全くモテなくて冴えなくてバレンタインだと言うのに義理チョコのひとつも貰えないあなたに、
特別にプレゼントを持ってきましたっ」
「前半の修飾語群がすっごく不愉快だけど、はぁ、それはありがとうございます」
「なんですかその手は」
「え、いや、チョコくれるんじゃないの?」
「そもそもバレンタインにチョコレートを送りあったりぶつけあったりする習慣は昔にはありません」
「今でもぶつけたりはしませんが」
「あれは製菓会社が勝手に始めた販促イベントなのです」
「はぁ」
「そもそもバレンタインデーと言うのは、ローマ時代皇帝の命により結婚を禁じられていた兵士たちを
秘密裏に結婚させてくれていたバレンタイン司祭の処刑日なのですよ」
「そうなんですか」
「というわけであなたを処刑しに来ました」
「嫌だよ! なんでバレンタイン司祭のとばっちりで俺まで処刑されなきゃなんないんだよ!」
「しょこら辺の細かい事は目をつぶっていただくとして」
「つぶらないよ! しかも今さり気なくダジャレ混ぜたよね!?」
「ちょこっとね」
「そんなとこで上手いこと言わなくて良いよ! あとその"さぁどうだ"って態度やめろ!」
「え、まじで。そ、そんな態度してる?」
「してるよ。顔に出てる」
「ええー。か、顔?」