ショートコント:オシャレなレストラン
(2005/4/28作)


「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか」
「えーと…あの、すみません」
「はい、なんでございましょう」
「…これ、ほんとにメニューですか?」
「はい」
「だって…なんか赤とか青とか、色しか書いてないんですが」
「それがお料理の名前になっております」
「そ、そうなんですか。じゃあこの黒っていうのは…」
「イカスミのスパゲティにひじきを添えたものです」
「確かに黒いですね。じゃあこっちの緑は」
「ピーマンとニラとほうれん草の野菜炒めの上に三つ葉を乗せたものです」
「見事なまでに緑ですね。黄色っていうのは」
「黄ピーマンと黄ニラと黄ほうれん草の野菜炒めの上に黄三つ葉を乗せたものです」
「緑と一緒じゃないですか。ていうか黄ほうれん草とか黄三つ葉ってなんだ」
「あるんです」
「……じゃあこっちの紫は」
「紫芋と紫キャベツを適当にあわせました」
「適当にすんなよ。なんか調理しろよ。んじゃこの茶色は」
「カレーです」
「うん、それはなんか想像ついた。オレンジ色」
「オレンジです」
「そのままじゃんか! もうちょっとひねれよ! 白は」
「バリウム液です」
「ひねりすぎ! 普通に料理じゃない!」
「いちご味です」
「味の問題じゃないよ……え、何この虹色っていうのは」
「とうがらしです」
「あだち充か! それはうまくひねってる気がする!」
「ありがとうございます」
「じゃあ、この黄金色っていうのは?」
「お勘定です」