ショートコント:お菓子の家
(2005/6/1作)


魔女    「こらお前たち!」
ヘンゼル  「わぁ」
グレーテル「びっくりした」
魔女    「お前たち、よくも私の家を食べたね」
ヘンゼル  「あ、こ、このお菓子に住んでる方ですか」
魔女    「そのとおり。お返しに私があんたたちを食べてやるよ!」
ヘンゼル  「ご、ごめんなさい。助けてください」
魔女    「だめだね。お前はやせっぽっちだから、太るまで牢屋に閉じ込めてやる」
ヘンゼル  「ひええ」
魔女    「そしてお嬢ちゃんの方は…ってあれ?」
ヘンゼル  「あれ、グレーテル? どこ行った?」
グレーテル「お兄ちゃんお兄ちゃん! ちょっと!」
ヘンゼル  「な、なんだいグレーテル」
魔女    「あ、こらこら勝手にうろつくんじゃない」
グレーテル「すごいよ。この壁、ビックリマンのウェハースチョコでできてる」
ヘンゼル  「ええー。随分とまたピンポイントな」
グレーテル「昔はみんなシールだけ取ってお菓子捨ててたっけ。あれはだめだよね」
魔女    「おお、お嬢ちゃんいいこと言う」
ヘンゼル  「グレーテル、お前何歳だよ」
グレーテル「あ、この部分、亀田の柿の種だよ」
ヘンゼル  「それもお菓子に入るのか」
グレーテル「柿の種って、袋に描かれてるけなげ組が面白いんだよね」
魔女    「お嬢ちゃん、通だねぇ」
ヘンゼル  「意気投合してるし…」
グレーテル「あ、あのドア、もしかしてビスコ?」
魔女    「そうだよ。さらに家の周囲には森永チョコボールM&M'sチョコをばら撒いてある」
グレーテル「密かにカリカリ梅が混ざってるのがポイントだね」
ヘンゼル  「最後のは絶対食い合わせ悪いぞ」
グレーテル「壁にさりげなくオレオをあしらってるのがセンスいいよね」
魔女    「ほう、わかるかい」
グレーテル「もちろんだよ」
ヘンゼル  「さりげなくない。全然さりげなくない」
魔女    「ほら、こっちの部屋を見てごらん」
グレーテル「わぁ。コアラのマーチたべっ子どうぶつビスケットが」
魔女    「ぬいぐるみ代わりだよ」
グレーテル「コアラ、眉毛ある?」
魔女    「あれはガセ」
グレーテル「だよねー」
ヘンゼル  「あのー、もうなんか会話に入れないんですけど」
グレーテル「わ、ねるねるねるね! これも息が長いよね」
魔女    「実はあのCMのオーディションに応募したことあり」
グレーテル「えーマジで!? すごい」
魔女    「でもあっさり落選したわ」
グレーテル「残念だったねー。でもあのCMの人、いい表情してるから」
魔女    「そうだね。負けて悔いないね」
グレーテル「うんうん。次があるって」
魔女    「がんばるよ」
ヘンゼル  「何ですか、この空気」
グレーテル「わ、暴君ハバネロ発見!」
魔女    「流行らしいからね。取り入れてみました」
ヘンゼル  「何もそんなとこで流行追わなくても」
グレーテル「あー、この辺辛い系なんだ?」
魔女    「そうそう」
グレーテル「やっぱカラムーチョは定番だよね」
魔女    「だよねー」
ヘンゼル  「ダチかあんたら」
グレーテル「こっちは? うわ、懐かしっ!
魔女    「わかるかい」
グレーテル「柱がチョコバットー!」
ヘンゼル  「駄菓子きたー」
魔女    「飾りとしてフエラムネもあしらってみたよ」
ヘンゼル  「笛である意味なくなってるよね」
グレーテル「わ、よく見たらじゅうたんが蒲焼さん太郎だ」
ヘンゼル  「ベタベタして歩きにくいってば」
魔女    「電気の紐はいかそうめんだよ」
グレーテル「いかそうめんと言えば乾燥したおつまみの方だよね」
ヘンゼル  「SIZさんみたいなこと言うな」
グレーテル「あっこれすごい!」
魔女    「どれだい」
グレーテル「このお布団、わたパチじゃん!」
魔女    「ほっほっほ、いいじゃろう」
ヘンゼル  「絶対安眠できないと思う」
グレーテル「お庭も素敵ね」
魔女    「気に入ったかい」
グレーテル「ええ。草むらかと思いきやベビースターラーメンってとこがいいわ」
ヘンゼル  「思わねぇー。絶対思わねぇー」
魔女    「ほほほ、ありがとう」
グレーテル「きのこの山とたけのこの里が咲き乱れていてとっても綺麗」
ヘンゼル  「咲いてない。きのこもたけのこも花じゃない」
魔女    「こっち側が日当たり良くて気持ちいいんだよ」
グレーテル「あ、この物干し竿ポッキーだ」
ヘンゼル  「いや普通に折れるだろそれは」
魔女    「あなたも私もポッキー!」
グレーテル「あなたも私もポッキー!」
ヘンゼル  「聞いちゃいないね」
グレーテル「あ、屋根はポテトチップスでできてるんだ」
魔女    「ああ、そうだよ」
グレーテル「あれは…チップスター?」
魔女    「いや、プリングルス
グレーテル「うーん、やっぱりポテチはカルビーじゃない?」
魔女    「カルビーのは一枚一枚の形がバラバラだから、屋根瓦には向かないんだよ」
グレーテル「だけどやっぱり味ではカルビーが一番美味しいと思うよ?」
魔女    「む、聞き捨てならないね。それは保守的な考え方というものだよ」
グレーテル「えー、だってやっぱ定番のカルビーうすしおが最高じゃん?」
魔女    「私はスライスして揚げたタイプよりも、ペースト状から焼き上げたタイプの方が好きだね」
グレーテル「それは邪道だよ。ポテチはパリパリした食感がいいんじゃない」
魔女    「あのタイプは一枚一枚味にばらつきがありすぎるよ。
        たまに死ぬほど塩っ辛い一枚があったりするし」
グレーテル「そこがいいんじゃないの。全部均等に同じ味なんて、なんかのエサみたい」
魔女    「なんだって!」
グレーテル「何よ!」
ヘンゼル  「けんか始めちゃったよ…やめろって、たかだかポテトチップスで」
魔女    「なんじゃと! たかだかとは何じゃ!」
グレーテル「そうよ! ああもう、何もわかってない人って嫌い!」
ヘンゼル  「キレられた」
グレーテル「お兄ちゃんなんか、一生うまい棒だけ食べてればいいのよ!」
魔女    「しかも納豆味じゃ!」
ヘンゼル  「ええー」