ショートコント:名前の由来
(2011/12/01作)


ゆういち「父さん」
父   「なんだい?」
ゆうじ 「僕たち、父さんに聞きたいことがあるんだ」
父   「ほう。なんだろう」
ゆうぞう「僕たちの名前なんだけど」
ゆういち「僕らの名前は”ゆういち・ゆうじ・ゆうぞう”だけど、父さんは別に”ゆう”とは関係ない名前だよね?」
父   「そうだな」
ゆうじ 「どうして僕たちの名前は”ゆういち・ゆうじ・ゆうぞう”になったの?」
父   「そうか…とうとうその話をすることになったか…」
ゆうぞう「何か意味があるんだね。教えて教えて!」

父   「あれは…ゆういちが生まれる二年前のことだ」
ゆういち「僕が生まれるよりも前…?」
父   「ああ。今まで黙っていたが…お前たちには実は兄がいたんだ」
ゆうじ 「えっ…!」
父   「だが、残念ながらその子は生まれてくる前に死んでしまった。不意の事故で流産してしまったんだよ」
ゆうぞう「そうだったのか…」
父   「父さんと母さんはとても哀しくてね…二人で泣き続けた」
ゆういち「父さん…」
父   「そんなある日、父さんと母さんの夢の中にその子が出てきたんだ」
ゆうじ 「えっ」
父   「顔を見ることもできずに死んでしまったが、父さんたちには判った。あれは生まれるはずだったあの子だと…」
ゆうぞう「…不思議な話だね」
父   「あの子は言ってくれたんだ。二人の子供として生まれたかったが、それは叶わなかった。
     けれど、そのことに拘っていつまでも泣き続けて欲しくない。自分の分まで幸せになって欲しい…と」
ゆういち「そんなことが…」
父   「その後お前たちが生まれた。父さんたちは思った。これはあの子が遣わしてくれた大事な弟たちなんだと」
ゆうじ 「…そうだったのか…」

父   「だから、父さんは決めたんだ。
     ”ゆうれい”の弟だから、順番に”ゆういち・ゆうじ・ゆうぞう”にしようと」
三人 「「「ちょっと待て」」」