ショートコント:昔話ショッピング
(2010/2/27作)


●猿蟹合戦

カニ 「サルさんからもらった柿の種、頑張って育てたらこんなに大きくなりました」
サル「へえ、こりゃ立派なもんだな。桃栗三年柿八年って言葉はどこに行ったんだ」
カニ 「でも、高すぎて私には実が取れないんです。どうしようかなぁ…」
サル「へへっ、ようし、俺が取ってや…」
栗  「はい! そこで便利なのがこの高枝切りバサミです!」
サル「え、お前出てくるの早すぎない!?」
カニ 「お! これは凄いですね!」
栗  「このとおり、棒を伸ばすと最大3mの高さにまで届くことができます」
カニ 「おおー」
栗  「またワンタッチで10段階に調整できますので、初めての方でも簡単!」
カニ 「なるほど」
栗  「先端のハサミを取り替えることで、果実つかみ、ノコギリなど色々な用途に使えます」
カニ 「これは便利ですね」
栗  「重さ1.25kgと非常に軽量ですので、女性の方でも軽々」
カニ 「すばらしい」
栗  「今なら切れ味バツグンの太丸や剪定バサミもお付けして、なんと9,980円にてご奉仕!」
カニ 「これはお買い得ですね!」
栗  「ご注文はこちら!」
 * 「♪お待ちしーてーいまーすー」
サル「…これ、カニの手で使えるのか?」


●金の斧銀の斧

木こり「しまった、斧が泉に!」
女神 「ぬぼぼぼーん」
木こり「あっ。綺麗な女の人が出てきた。変な擬音と共に」
女神 「あなたが落としたのはこの金の斧ですか? それともこちらの銀の斧ですか?」
木こり「え、いえ、私が落としたのは鉄の斧です」
女神 「あなたは実に正直者です」
木こり「あ、どうも」
女神 「そんなあなたに特別サービス! 本日は鉄の斧に加えて金と銀の斧もお付けいたします!」
木こり「えっ」
女神 「こちら、金の斧はなんと24金製!」
木こり「わぁ、これは贅沢ですね!」
女神 「どちらの斧も全て職人による手作りですので、その品質は保証済みです!」
木こり「木は切れませんけどね!」
女神 「今日は三本まとめて、なんと49,800円でご奉仕させていただきます!」
木こり「え、お金取るの?」
女神 「ご注文はこちら!」
 * 「♪お待ちしーてーいまーすー」
木こり「え、自分の斧も買取なの?」


●一寸法師

爺 「なんということじゃ。ワシらの授かった子供が一寸ほどの背丈しかないとは…」
婆 「実はこの子、布団圧縮パックの中に入っているんですよ」
爺 「なんと!? だからこんなに小さいのか!」
婆 「使い方は簡単。まず袋の中に子供を入れます」
爺 「ふむふむ」
婆 「掃除機のノズルを差し込み、隙間ができないようにパックの口を閉じます」
爺 「ほうほう」
婆 「そして掃除機で空気を吸い出せば、このとおり。3分の1のサイズに圧縮できます!」
爺 「おおー!」
婆 「今回は通常サイズに加えて、特大サイズ、毛布用、枕用、衣類用を20枚ずつセットでご提供!」
爺 「そこまで増えると、圧縮パックを圧縮して保存したくなるのう」
婆 「これだけ合わせて、お値段はなんと129,800円!」
爺 「高いのか安いのかよくわからん」
婆 「ご注文はこちら!」
 * 「♪お待ちしーてーいまーすー」
爺 「というか子供死ぬ! 子供!」