ショートコント:偉人伝 〜卑弥呼〜
(2006/04/14作)
「卑弥呼様、そろそろご祈祷の時間ですが」
「えー。だるーい。眠ーい。あと10分ー」
「ちょ、仮にも邪馬台国の女王なんですからもうちょっとシャキッとしてくださいよ」
「しゃきっ」
「口で言っただけじゃないですか。ほらほら起きて起きて」
「やだー。あと15分ー」
「さりげなく延ばさない」
「大体祈祷ったって何祈りゃいいのよー」
「それはその、民の健康とか」
「じゃあ女王の健康のために今日の祈祷はお休みしまーす」
「だめですよ! またそんなわがまま言って…」
「わがままわがままー!」
「だから口で言うなって」
「そういやアレどうなったのアレ」
「アレ?」
「魏に送ったでしょ、人身御供」
「遣いとして送ったんだよ! そんな物騒な役割じゃない!」
「そうなの? あちゃー。やっちゃったなぁ」
「な、何をですか」
「いや、見送る時に"御国の為に頑張って散ってきてね"って言っちゃった」
「うわ酷っ」
「愕然としてた」
「そりゃ誰でも愕然としますよ」
「ごめんごめん。ちょっとした卑弥呼の失敗。てへっ」
「可愛こぶってもダメです」
「略して"卑弥呼っパイ"」
「略す意味がわからない。しかもなんかエロい。」
「まぁあれよ、巫女なんてのはもともとエロい存在なワケよ」
「いきなり何を訳のわからないこと言ってるんですか」
「訳のわからないことー!」
「あーもー殴りたい!」
「暴力反対! 暴力反対! ボウクレア凡退!」
「誰だよ! というかダジャレにしても遠いよ!」
「んで話し戻すけど、どうだったのよ魏に行ったボウクレアは」
「ボウクレアは魏に行ってません。行ったのは難升米です」
「難升米? 何て読むの?」
「なしめ…だと思います」
「ふうん。で、それ誰?」
「魏に遣わした人ですよ」
「そうなんだ。名前はなんていうの?」
「いや、だから難升米です」
「難升米? 何て読むの?」
「"なしめ"です!」
「へぇ。で、それ何した人?」
「ああもう、ひと昔前の漫才みたいなボケしないでくださいっ!」
「…ちょっとぉ」
「な、何ですか」
「時代錯誤なメタ発言はやめてよね」
「ボウクレアとか言ってるあんたに言われたくないよ!」
「はいはいわかったわかった。で、難升米に行ったボウクレアはどうなのよ」
「もう訳わからなくなってるじゃないですか。そうそう、難升米帰ってきましたよ」
「お、そうなの。なっちゃん帰ってきたんだ」
「はい。魏の国王から金印と銅鏡100枚を頂いて来たそうです」
「やった。金印、ヤフオクに出したら高く売れるよね」
「頂き物をいきなり売るなっ!」
「銅鏡は…とりあえず合わせ鏡にでもしとこうか」
「なんでわざわざそんな不吉なことするんですか」
「ふふふ…丑三つ時になると、鏡から…月の光が!」
「単に鏡越しに月見てるだけじゃん」
「はい、ここでクイズでーす」
「く、クイズ?」
「身長180cmのあたしが銅鏡に全身を写したいと思いました」
「身長サバ読んでますよね?」
「さて、銅鏡は何cmの高さがあれば良いでしょーか?」
「え…うーん、それは…鏡と卑弥呼様との距離に寄っても変わるんじゃないかと…」
「ぶっぶー。正解は身長の半分の90cmでしたー」
「え、そうなんですか? 何故?」
「いやー、良い天気だねぇ」
「説明しろよ!」
「うっさいなー。そのくらい自分で調べなさいよ」
「問題振ってきたのはそっちなんですから説明責任くらいあるでしょう」
「えー。めんどい」
「…人ってたった四文字でストレス貯めることができるんですね」
「よし。じゃ説明と祈祷どっちか選ばせてあげよう」
「ええー」
「選ばれなかった方はもう今日はやらない」
「な、なんて卑怯な…」
「ふっふーん。卑怯の卑は、卑弥呼の卑ー♪」
「わ、わかりました…祈祷でお願いします」
「えー。めんどい」
「どっちにしてもやる気ないだろあんた」
「よし。じゃ今日は趣向を変えて予言してあげよう」
「よ、予言ですか?」
「ムムッ。あたしは将来暗殺されます」
「ええっ!?」
「犯人は……お前だーーーー!!」
「……」
「……」
「ノリで喋るの止めてもらえませんか」
「冷たいなぁ。ムムッ。あたしの後継は男の人です」
「そ、そうなんですか」
「すぐ失脚します」
「でしょうね」
「その後、若い巫女が女王の座に着きます」
「ほう」
「その時はみんなで"センチメンタルジャーニー"を歌ってあげてください」
「は?」
「ただし"16だから"は"13だから"に変えること」
「は…はぁ」
「はい予言終わりー。いやぁ、よげったよげった」
「何その怪しい日本語」
「ところでさー、最近ちょっとわからないことがあるんだけど聞いていいかな」
「え、卑弥呼様でもわからないことですか?」
「うん。あのね…」
「は、はい」
「…この邪馬台国って、どこにあるん(打ち切り)