ショートコント:ゲーム漫画のノリで 3rdStage
(2006/03/03作)
「雛祭りの歌。さんはい」
「♪灯りをつけましょぼんぼりにー」
「♪お花をあげましょ桃の花ー」
「♪五ー人囃子の笛太鼓ー」
「♪今日は悲しいお葬式ィ…」
「いやいやいや! 楽しい雛祭りだから!」
「だってどう考えても楽しそうじゃないだろう、この歌」
「確かにそうだけど。で、久しぶりに呼び出したと思ったら突然何を歌わせるんだ、ゲームチャンプ"もょもと"」
「いや、今日しか出せない話題だから適当に盛りこんどいてくれと言われてな」
「誰にだよ」
「そんなことはどうでもいい。勝負だ自称最強ゲーマー"ゲレゲレ"!」
「望むところだ!」
「行くぞ! 今日のゲームはこれだ!」
「…"オシャレ魔女 ラブ and ベリー"……?」
「リクエストがあったからな。ヤングな女性に大ヒットだそうだ」
「ヤングすぎるだろ」
「どんなジャンルのゲームだろうと真剣に取り組むのが真のゲーマーというものだ」
「くっ…そこまで言われたら後には引けない。よし、受けて立とう!」
「では始めるとするか。 …おいガキども、そこをどき給え。しっしっ」
「酷ぇ。ゲーマー以前に人としてダメだろそれは」
「二筐体分空けたぞ。さぁ勝負だ!」
「勝負だ…と言われても、何をどうしたら良いのやら」
「ふっ。まったくおめでたい奴だ。ルールも知らずに勝負を挑むとは」
「いや、挑んだのお前だし。どっちかっつーとお前の方がおめでたく見えるよ?」
「手持ちの"オシャレまほうカード"で上げたオシャレパワーをベースに音ゲーをし、
最終的に対戦相手より多くのポイントを稼ぐゲームだ」
「思いきり無視したね。今ね」
「獲得したポイントの多い方が勝者となる。極めて単純だろう」
「…ちょっと待て。俺はその"オシャレまほうカード"とやらを持っていないんだが」
「さぁスタートするぞ!」
「うわ、こいつ本気で勝ちに来てる」
「ふふふ。ちなみに私は金にあかせてカード全種類のうち120%集めた!」
「オーバーしてるじゃん」
「20%は自分で作ったものだ」
「うわ、ゲーム漫画の定番きた」
「ははははは。もう私の勝ちは決まったようなものだな」
「お前、超卑怯者な」
「フン、なんとでも言え。貴様は寝癖頭にパジャマのみすぼらしい恰好で勝負に出るが良い」
「世界によってはかなりの萌え衣装だけどな」
「それに引き替え、私は好きなようにコーディネートできる。指を咥えて見ているが良い!」
「はぁ」
「まずは髪型とメイクだ。爽やかなショートヘアにカラフルな虹色。これは目を引くぞ」
「んー、まぁ」
「次に服装。全体的に体にぴちっとフィットする衣装でスタイリッシュに決める」
「……」
「ワンポイントにバンダナやブレスレットをつけることでバランスを取り、よし出来た! さぁどうだ!」
「…いや、なんか…」
「どうした?」
「…志茂田景樹みたいになってるんだが」
「なんだと失礼な!」
「いや、むしろその発言が志茂田景樹に失礼だ」
「フン、私のセンスが誤っているかどうかは筐体が判断してくれる! さぁどうだ!」
「マイナス25とか出てるが」
「ノォォーーーーー!! なぜだーーー!!」
「その自作のカードとやらを読みこませたからじゃないの?」
「バカな! そんなはずはない! この機械が壊れているんだ! そうに決まってる!」 (ガン!)
「あ」
「あ」
「……」
「……」
「…フリーズしたぞ」
「フリーズしたな」
「お前が変なバーコード読みこませたり筐体を蹴ったりするからだ」
「濡れ衣だ」
「事実だよ」
「ママー、あのお兄ちゃんたち…」
「しっ! 見ちゃいけません!」
「……」「しっ! 見ちゃいけません!」
「……」
「なぁ」
「なんだ」
「帰らないか」
「奇遇だな。私もそう思ったところだ」
「店の人にばれないうちに逃げよう」
「うむ。また今日のところは引き分けだな」
「いや、少なくともお前が人生に負けてる事だけはよくわかった」
「ぎゃふん」