ショートコント:ゲーム漫画のノリで 2ndStage
(2005/09/28作)


「久しぶりだな、ゲームチャンプ"もょもと"」
「ああ…この間のマインドシーカー勝負以来だ。自称最強ゲーマー"ゲレゲレ"くん」
「その名前にもいろいろと言いたい事があるが、とりあえず勝負だ!」
「ふっ。今日こそ引導を渡してあげよう」
「で、今日の勝負はなんなんだ?」
「ちゃんと用意してある。…これだ!」
「こ、これは!」

「エロエロソフト(仮)の"エロエロ物語(仮)"だ!」

「…エロゲー?」
「そうだ」
「…いや、確かにゲームっちゃゲームかも知れないけど…」
「ルールは簡単。インストールから始めてどっちの方が先にCGコンプリートするかだ」
「聞いちゃいないし」
「では、早速はじめようか」
「あー。わかったよ」
「では行くぞ。レディ、ゴー!」
「よし、まずはインストールからだな…ってなんだこのパッケージ! くそ、固い! 開かねぇ!
「ふ。この業界では寸法ミスで箱が開けにくいことなど珍しくもない」
「くっ、よし開いた。早速インストールだ! PCの電源ON!」
「ふん、馬鹿め。PCは立ち上がるのに時間がかかる。先に立ち上げておくのが段取りと言うもの」
「よし立ち上がった。CDを入れて…うっわ、恥ずかしいフォルダ名でインストールされた
「それこそエロゲーの醍醐味というものだ」
「そんな余計なものは味わいたくない…っておい」
「なんだ」
「何故お前はゲームを始めないんだ。インストールは終わったんだろう?」
「…ふっ。ハンデだよ。5分ほど待ってやる。その間にせいぜい先に進むんだな」
「くっ、余裕こいてWindows標準のハーツとかやりやがって。俺はルールすら知らないっつーの」
「ふっ。ハーツのコツは、なるだけ早くクローバーやダイヤのカードを全てなくしてしまうことさ」
「どうでもいいよそんなの。よし、ゲーム開始だ!」
「ゲームCDを入れないとチェックに引っかかって起動できないから注意しろよ」
「そのぐらいわかってる! …文章なんてまともに読んでられるか、クリック連打だ!」
「まったく情緒も何もないな」
「し、しまった! 勢いに乗ってうっかり選択肢も連打で選んでしまった!
「ふん。バカめ」
「くっ。次はこんな失敗はしない。マウスポインタを画面隅っこに固定して連打だ!」
「さて、そろそろ始めるとするか」
「さっさとしやがれ!」
「…ふん。ほざいていられるのも今のうちだ。(カタカタカタカタ)」
「な、なにっ! キーボードのEnterキーでも文章を進めることが出来るのか!?」
「ちゃんと説明書を読まないからそんな基礎知識すら身についていないのだ!」
「畜生、マウスをクリックしまくったせいで無駄に右手が疲れちまったぜ」
「ふはははは。もうこれで勝機は見えたな」
「なんのこれしき。左手でEnter連打だ!」
「ぬ。むぅ、考えたな」
「うっ、しまった。選択肢まで来たけど文章を全然読んでいないから意味不明だ!」
「ふん。だからお前は甘ちゃんだと言うんだ」
「なんだと!?」
「この手のゲームには大抵バックログ機能がついているものだ!!」
「そ、そうか! これで直前の文章からなんとか繋がりを推測できる!」
「お前がのんびりやっている間に、私はもう一人目のシナリオをクリアだ!」
「何くそ、負けるかぁぁー!!」
「(カタカタカタカタカタカタ←Enterキー連打音)」
「(カタカタカタカタカタカタ←Enterキー連打音)」
「…なかなかやるな。驚異的な連打スピードで追いついてくるとは」
「そろそろ腕が悲鳴を上げているが…俺は諦めない!!」
「むぅ。しかし私はもうすぐ最後のシナリオをクリアだ! 抜かせてなるものか!!」
「うぉぉぉぉ!」
「ぬぅぅぅぅ!」
「よし抜かしたぜー!!」
「くそっ」
「やったーー!! 俺の大勝利だーー!!」
「…いや、安心するのは未だ早い」
「!?」
「CG閲覧コーナーを見てみろ」
「…何っ!? CGが埋まっていない…!?」
「ふふふ。お前の負けだ、ゲレゲレ」
「そんなっ…最後のシナリオまでちゃんとクリアしたのになぜ…!?」
バグだよ」
「ば、バグ!?」
「そう。このゲームは全てのCGを集めても一覧に表示されないというバグを持っていたんだ!」
「な、なんだってーー!? そんな致命的欠陥のある商品を普通に売ってるもんなのか!?」
「エロゲー業界では、なんらかのバグを持っていない方が珍しいんだよ」
「そ、そんな…そんなことが」
「私は最初お前に5分の猶予を与えている間に公式サイトへ行き、パッチを当てていたのだ」
「俺は…ゲームを開始した時点で既に負けていたのか…っ!!」
「そういうことだ。さぁ、見るが良い、私のCG一覧をっ!!」
「…………」
「…………」
「あのー、パソコンがフリーズしましたけど
「…なんてことだ…まだそんな潜在バグが潜んでいたなんて……」
「ほんとに致命的だよね、これ」
「そういえばエロエロソフト(仮)ってバグだらけのメーカーで有名なんだった」
「そんなの勝負に選ぶなよ」
「むう。これはメーカーが対応してくれるまでどうしようもないな」
「じゃ何、今回も引き分け?」
「そうなるな。すまない」
「まぁ仕方ない仕方ない。今度また別のゲームで勝負しようぜ」
「わかった。じゃ次は"音楽ツクール かなでーる"で勝負だ!」
「お前ほんとにわかってないだろ」