ショートコント:同窓会
(2005/6/28作)


「よう、田中久しぶり」
「おお! 小林じゃん。懐かしいね」
「ほんとだなー。こんな同窓会でもないとなかなか会う機会ないしな」
「確かお前、○○社の営業だっけ。どうよ最近?」
「いやー全然だめ。俺営業向いてないんだ」
「そうなのか」
「人と話すの苦手なんだよ」
「ああー。それは辛いよね」
「お前なんだっけ、SEだったっけ」
「そうそう」
「どうよ」
「俺も向いてないかも。コンピュータ触ってると頭痛くなってくるんだ」
「お前どっちかっていうとアウトドアだったもんな」
「うん」
「なかなかうまくいかないもんだなー」
「そうだねー」
「そういや聞いた? 守山の話」
「あー、確か実家継いで酒屋になったって聞いた」
「それそれ。下戸なのにな
「下戸なのにね」
「あとびっくりしたのは浅田さんだよ」
「あー、あの子ね」
「歌手デビューしたらしいぞ」
「うそ!? だってあの子めちゃめちゃ音痴だったじゃん」
「見た目がよければ歌声はコンピュータでなんとかなるんだろ」
「うわ」
「渡辺はバスの運転手になったとか」
「へぇ…遠足のバスですぐ車酔いしてた渡辺が…」
「それと中山さん」
「ああ、中山さん?」
「ペットショップに勤めてるらしいよ」
「え、まじで」
「うん」
「だってあの子猫アレルギーでしょ」
「毎日涙止まらなくて大変だって」
「よりによってそんな職業選ばなくてもいいのに…」
「井出は花屋になったって」
「へー」
「ひどい花粉症で、これまた毎日涙が止まらないって」
「だめじゃん」
「佐藤は製塩業者に就職したらしいぞ」
「砂糖じゃないんだ。塩なんだ」
「高原は子供の頃からの夢が叶ってお嫁さんになったそうだ」
「高原…? 誰だっけ」
「…靖男」
「ああ…あいつか…まぁ当時からその気あったしな…」
「やぁやぁ、田中に小林じゃないか」
「あ、先生! お久しぶりです」
「お久しぶりです」
「うん久しぶり。いやぁ懐かしいねぇ」
「ですねー」
「こうして成長した教え子の姿が見られるのは嬉しい限りだよ」
「ありがとうございます」
「松本も…生きていれば是非会いたかったんだが」
「あのバカ…どうして高所恐怖症でパイロットになるかなぁ…」
「職業というのは適性が大事だからねぇ」
「先生が言うと説得力ありますね」
「そうかい」
「ええ。先生、アメリカ人なのに国語教師だから」