ショートコント:青色戦隊ブルーレンジャー・序
(2009/11/28作)
葵 「うーん、なかなか難しいね」
ロボ「結構集まりましたね。予想外に」
葵 「やっぱりテレビCMが効いたんだろうね。日本人はマスメディアに弱いから」
ロボ「いや…ていうか前代未聞ですよ…戦隊メンバー募集CMなんて…」
葵 「どこの業界も人材不足なんだから、この際手段は選んでいられないよ」
ロボ「でも、もう秘密戦隊でもなんでもないですよね」
葵 「いまや政治もガラス張りの時代だからね」
ロボ「なんでも公開すりゃいいってもんでもないですよ」
葵 「さーさー、それより選考に入ろう選考に」
ロボ「そうですね。応募ハガキが山積みですし…」
葵 「あ、ごめん、そっちの半分は準備中の年賀状」
ロボ「ええー!? ややこしい所に置かないでください! ていうか何枚年賀状出すの!?」
葵 「いや、歴代の戦隊さんたちに」
ロボ「一代ごとに5枚は必ず必要になる計算ですね…」
葵 「例外もあるけどね。あと死んじゃった人とか」
ロボ「ああ…なるほど…」
葵 「それより選考、選考」
ロボ「はい。…というか、どう選べばいいんでしょう」
葵 「うん?」
ロボ「いや、ほら、戦隊のテーマというか。恐竜とか車とかいろいろあったでしょ」
葵 「あー。どうしよっか」
ロボ「募集前に考えとこうよ」
葵 「んー、そうだねぇ。やっぱあたしとしては5人とも美形のイケメンがいいな」
ロボ「そんな独善的な…それに戦隊には伝統的に一人はヒロインがいるものでしょ」
葵 「ちっちっちっ」
ロボ「は?」
葵 「ふっふっふ。わかってないねー、ロボくんは」
ロボ「はぁ…」
葵 「今や特撮はジャニ崩れのイケメン人気で成り立っていると言っても過言ではないんだよ?」
ロボ「どこ情報ですかそれ」
葵 「あ、テーマ:SMAPとかどうかな!」
ロボ「ツッコミどころしか見つからないんですけど」
葵 「よくないよくない? 吾郎ちゃんとかブルーって感じだし」
ロボ「はぁ」
葵 「そんで、中盤辺りで6人目の仲間が登場するんだよ。森くん」
ロボ「それは画期的でしょうけど」
葵 「つよぽんの地デジ攻撃! …そして裸になって自爆」
ロボ「放送事故ですよそれ。そもそも、それだとCMで応募した意味全くないですよね」
葵 「あー。それもそうだね。うーん、5人、5人…」
ロボ「別にそんなに5にこだわらなくてもいいと思いますけど」
葵 「ちょっとWikipediaで”5”について調べてくる」
ロボ「なんという安易な発想。止めた方がいいですよ」
葵 「おお。”全ての自然数は負を含めると5つの3乗数の和で表せる”だって。本当かな」
ロボ「ほら横道に逸れた…」
葵 「おっと、そうだったそうだった。戦隊のテーマだったね」
ロボ「そうですよ。早く決めてください」
葵 「あ、こういうのどうかな。幕末の偉人でまとめるの。今度の大河ドラマに便乗して」
ロボ「発想がセコい」
葵 「いいじゃん。坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟、それと…えーと…」
ロボ「三人までしか思いつかなかったのか…」
葵 「ペリー」
ロボ「ペリー!?」
葵 「あとは…新撰組?」
ロボ「一気に人数増えた!」
葵 「とにかく、戦隊メンバーは全員その人たちの生まれ変わりなの! どうよこれ! よくない?」
ロボ「…二回目のツッコミですけど、CMで応募した意味全くないですよね」
葵 「…あー。だよねー」
ロボ「まじめに考えてください」
葵 「ごめんなさい。とりあえず集まったハガキ見てみようか。なんか発想のヒントになるかも知れないし」
ロボ「そうですね。どれどれ…」
葵 「中学時代からずっと引きこもっていました。社会復帰する第一歩として戦隊に参加したいです」
ロボ「勤めていた会社からリストラされましたが、これという資格もないため再就職できず…」
葵 「働いたら負けだと思っているニートです。戦隊なら面白そうなので…」
ロボ「生活保護を受けていますが、携帯料金とタバコ代が払えないので…」
葵 「この間まで清純派アイドルだったのですが、麻薬の使用が明るみになってしまい…」
ロボ「派遣村出身です」
葵 「…なんかネガティブな理由が多いね。これが現代の世相なのかな」
ロボ「全然ダメじゃないですか。明らかにヒーローの資質がない人たちばっかりですよ」
葵 「ある意味斬新じゃない? 全員頼りない、五人戦隊・ゴメンジャー!」
ロボ「そんなとこで上手いこと言わなくていいです」
葵 「えへへ」
ロボ「はぁー。それにしても、まさかこんなにまともな応募がないだなんて…」
葵 「うーん。やっぱりお給料出ないからかな」
ロボ「えっ、ボランティアだったの!?」