ショートコント:悪人たちの挽歌
(2005/10/04作)
「お呼びですか、ゼリー大佐」
「おお。来たか、チリガミ博士。話は他でもない、仮面サイダー対策についてだ」
「ふむ。いつもことごとく我ら秘密結社シャッターの計画を邪魔しているヤツですな」
「その通り。やつを倒さねば"世界人類が平和でありますように"計画が頓挫してしまう」
「ふぉっふぉっふぉっ。お任せください。こんなこともあろうかと準備はしてあります」
「おお。何か秘策が!?」
「やつを倒すため、新たなる怪人を何体か作りました」
「ほほう。早速見せてもらおうか」
「わかりました。まずはこれです」
「なめー、なめー」
「これは?」
「なめくじ男です。そのグロテスクな風体と気持ち悪い粘液で人間どもを恐怖のどん底に叩き落します」
「…これさ、まさかとは思うけど、弱点が塩とかそういうことないよね?」
「さすが大佐。そのまさかです。塩をかけられると溶けて消えます」
「だめじゃん。弱点バレバレじゃん」
「日向の暑いところとかも危険です。干からびて死んでしまいます」
「弱っ。使えないよそんなの」
「だめですか」
「だっていつも戦う場所は日陰の全くない採掘場だし」
「ああ。確かに。ではこいつは消去ですな」
「へ。消去?」
「ポチッとな」
「な…なめめめめめめめめ!!!(電撃)」
「…さ、さすがチリガミ博士。なんと容赦のない…」
「無能なものは不要です」
「悪いやつだな」
「ふぉふぉふぉ。お褒めの言葉と受け取らせていただきますよ」
「それでは他の怪人も見せてもらおうか」
「はいはい。では次の怪人、出でよ!」
「ばぶー、ばぶー」
「赤ちゃん男です。らぶりぃな見た目でヤツを油断させます」
「ほほう。なるほど、人間の心理を突くわけか。考えたな」
「はい。あまりの可愛さに油断しまくりで抱き上げた所に、すかさずブリッと」
「うは、あるある」
「さらにオムツを替えようとしたところで、すかさずオシッコ攻撃」
「あるけど…それ普通の赤ちゃんじゃないの?」
「怪人です」
「はぁ。で、どうやって仮面サイダーを倒すの」
「日々の育児で徐々に疲労していきます」
「……」
「だめですか」
「だめですね」
「そうですか。では消去ですね」
「ばぶっ!?」
「ポチっとな」
「ばぶーーーーーー!!!(落とし穴)」
「…あんなにらぶりぃなのに、ほんとに容赦ないな」
「ありがとうございます」
「次の怪人を頼む」
「わかりました。次はちょっと趣向を変えてございます」
「ほう」
「有名な魔物をモチーフに製作してみました」
「うむ。それは期待できそうだ」
「よし来い、口裂け女男!」
「くちー、くちー」
「…女なの? 男なの?」
「口裂け女ですが男です」
「ややこしいよ」
「夜道で"私きれい?"と尋ね、どう答えようが結局襲われるという理不尽な魔物です」
「確かに理不尽だ。だが怪人としては申し分ない」
「ちなみに忠実に再現しましたので"ポマード"という言葉を聞かせると死にます」
「くちっ!? くちーーーーー!!!」
「あ」
「あ」
「…申し訳ございません。つい口が滑りました」
「いやいやいや! それ以前になんで弱点までわざわざ再現すんの!? そっちの方が謎!」
「では次の怪人に移りましょう」
「聞けよ!!」
「次はこれです。危篤男」
「き…きと……く……ぐふっ」
「あの、もう死んでるんだけど」
「えー次はですね…」
「聞ーけーよー!!!」
「最近のブームを取り入れてみました。電車男男」
「男男て」
「電車の中で酔っ払いに絡まれた女性を助けます」
「いいやつじゃん」
「しかし彼は根っからのオタクで、女性とのお付き合いに自信がありません」
「はぁ」
「そこで彼はネットの掲示板で相談するのです」
「あのー、で、どうやって仮面サイダーと戦うの」
「…えーと、それは感動させて戦闘意欲を削ぐというか…」
「いや、もっと直接的に戦おうよ」
「だめですか」
「だめじゃない要素が見つからない」
「そうですね。では消去」
(プァーン…ゴスッ!)(電車に轢かれた)
「…そういや今の怪人の声一度も聞いてなかったな」
「どうせ喋らせればすぐ噛むから別に良いでしょう。では次」
「もーいい加減まともなの頼むよ」
「……」
「なんでそこで黙るの!?」
「…仕方がない。では、とっておきの恐しい怪人を呼びましょう」
「お、何、そんなのいるの?」
「はい。これだけは最後まで取っておこうと思いましたが…」
「おお、なんか期待できそうじゃないか。よし、見せてくれたまえ」
「わかりました。出でよ、創k」
「ちょちょちょっと待った!!」
「何か」
「いや、ものすごーく危険な線に抵触しようとしてないっすか」
「ですから恐ろしいと言ったじゃありませんか」
「そういう意味で!?」
「なんせ彼らは某国を母体とし、某政党をもって日本征服を着々と企んでいるのです」
「いやいやいや。そういう暴言はやめような」
「外国人に参政権を認める政策など許してはなりません!」
「いやあの…一般人の意見なら正論なんだろうけど、一応俺ら悪の秘密結社だし」
「そうでした。ついつい愛国精神が出てしまいました」
「愛国精神あるんだ」
「これでも生粋の静岡っ子ですよ」
「静岡なんだ」
「静岡っ子ずらよ」
「わざわざ怪しい訛りに直さなくて良いから」
「しかし困りましたな。もう目ぼしい怪人はおりませんぞ」
「え、今ので全部なの!?」
「あと残っているのは、金魚すくいの紙男とか杉田かおるの結婚生活男とか」
「どっちもすぐにやぶれます、って大喜利やってんじゃないよ!」
「ヤムチャ男」
「普通に弱いよ!」
「パペットマペットの真ん中男」
「出てこれない! 出てこれない!」
「引きこもり男」
「出てこない! 出てこない!」
「放送禁止男」
「出せない! 出せない!」
「便秘男」
「出ない! 出n…もう何がなんだかわかんないよ!!」
そのころ仮面サイダーは…
「暇っすねーおやっさん」
「平和なのはいいことだぞ。王手」
「えっ。あっ、ちょ、今のナシ」