ショートコント:ふしぎちゃんとしーちゃん
(2010/06/12作)
「おーい、ふしぎー!」
「しーちゃん。久しぶりー」
「久しぶりー」
「このシリーズ自体も久しぶりー」
「何の話?」
「ん。メタ発言、かな」
「そう。よくわかんないけど… まぁ、貴女はいつもわけわかんないし」
「照れるね」
「褒めてないからね。今から授業?」
「うん」
「何の?」
「大学の」
「うん、それは知ってる。科目を聞いてるの」
「えーと。宇宙物理学」
「…貴女、文学部でしょ? なんでそんな授業採ってるの」
「宇宙人語を勉強しようかと…」
「なんかツッコむのもバカバカしくなってきたわ」
「照れるね」
「褒めてないからね。ちょうどいいわ、一緒にご飯食べに行かない?」
「え、でも授業が…」
「ふしぎ」
「はい」
「その授業受けてても、宇宙人語は出てこないよ」
「!!!!」
「私はむしろ貴女のその『マジで!?』ってリアクションが信じられない」
「ものすごくショックだよ…」
「そもそも宇宙人語って何よ、宇宙人語って」
:
「いただきまーす」
「いただきます」
「んー。こうしてしーちゃんとご飯食べるのも久しぶりだねー」
「そうね。そして相変わらず貴女の昼ごはんは意味不明だわ」
「え、なんで? 美味しいよ、水炊き」
「お弁当箱で水炊き食べる人初めて見たわ」
「ポン酢が効いてるよ」
「そう。で、中学生の彼氏とはどうなの?」
「え?」
「どうなのってば」
「んっとねー、あたしが12勝でれーじくんが25勝かな」
「…ごめん。何の話?」
「マリオカート」
「ああ、そう。まぁ仲良くやってるんだってことは解った」
「照れるね」
「褒めてないからね。そうじゃなくて、恋人としてどうなのって話よ」
「え、恋人だと勝率が変わるの?」
「いや、とりあえずマリオカートから離れて」
「うん、わかった」
「…そうね、貴女には曖昧な質問しちゃダメなんだった。忘れてたわ」
「照れるね」
「褒めてないからね。えーと。デートとかしてるの?」
「してるよ。いろんなところ行ってるよ」
「へぇ、そうなんだ」
「愛の逃避行だよ」
「何から逃げてるのよ」
「現実…かな…」
「なんで突然後ろ向きなのか解らない」
「こないだはあそこに行ったよ。えーと…」
「ん、どこどこ?」
「ファッション………
ホテル?」
「えっ。ちょっと待って何それ詳しく」
「あ、違う、ファッションビル」
「何だ…びっくりさせないでよ…」
「ん?」
「いや、解ってないならいい」
「可愛らしいお洋服がいっぱいあるから、いろいろ買っちゃうんだよ」
「あー、貴女の買い物に付き合わせてるわけね」
「ううん、れーじくん用」
「あんたは彼氏に何を着せようとしているんだ」
「れーじくんも喜んで着てくれるよ?」
「本当に?」
「『もういい、好きにして…』って」
「それ喜んでないからね。完全に諦めモードだからね」
「それから、ゲームコーナーで一緒に遊んだりするの」
「へー」
「もぐら叩きとか」
「貴女できるの? のったりしてるうちに0点とかなってそうなんだけど」
「むー、失礼な。あたしだって、もぐらくらい叩けるもん」
「本当に?」
「筐体ごと叩き壊しちゃったけど」
「は!?」
「若気の至りだよ」
「いや…そんなに前の話じゃないよね…?」
「照れるね」
「褒めてないからね」
「あとUFOキャッチャーは魔物だね」
「あー、よく言われるわね。ついついお金を使いすぎちゃうって」
「倒したら経験値とお金がもらえたよ」
「え、比喩じゃなくて!? 本当に魔物だったの!?」
「その後出てきたもっと強い魔物に負けてお金取られちゃったけど」
「あ…あぁ、そう…」
「本当強いね。あの
『店長』っていう魔物」
「魔物違ー! それ筐体破壊して弁償させられてんじゃない!」
「…よく解ったな」
「…貴女店に迷惑かけまくってんじゃないの…」
「あたしにもよく解らないよ。あたしが触った機械はなぜか壊れちゃうんだ」
「そういえば昔から貴女そうだったわよね…」
「照れるね」
「褒めてないからね。それにもぐら叩きは叩き壊したって自白してるし」
「鋭い。さすがしーちゃん。伊達におっぱい大きくない」
「さらっとセクハラ発言しない」
「伊達に濃くない」
「何が!? ていうか、こんな公共の場所で変なこと言うのやめてくれる!?」
「照れるね」
「褒めてないよ! 本当やめて!?」
「ご、ごめん…」
「絶対よ? 全くもう…」
「うん、れーじくんだけに言うことにするよ」
「……」
「…しーちゃん顔怖い」
「…言ったの?」
「…言いましたね」
「…グーで殴っていい?」
「…できれば穏便に済ませていただけると助かりますね」
「…反省は?」
「…雰囲気的にした方が良さそうなので、しています」
「……」
「…えへっ?☆」
「…はぁ、もういい。私、貴女の彼氏にもう顔合わせられないわ…」
「…ごめんね?」
「はいはい。もう変なこと言ってないでしょうね?」
「お尻にほくろあるって言った」
ゴッ(打撲音)